認知症を発症して意思能力が低下・喪失すると、本人の財産を守るための法律上の制限により、預貯金の口座が凍結されたり、不動産の売却・契約が一切できなくなったりするリスク(資産凍結リスク)が生じます。
元気で判断能力がある生前のうちに準備しておくべき主な相続・資産対策をわかりやすく解説します。
1. 認知症によって起こる「資産凍結」のトラブル
認知症が進むと、以下のような手続きが本人・家族ともにできなくなります。
- 預金口座からの引き出し・振込:介護費用や医療費の支払いのために本人の口座からお金を出せなくなる。
- 不動産の売却や契約:実家を売却して施設入居費に充てたり、修繕契約を結んだりできなくなる。
- 生前対策・遺言の作成:遺言書の作成や贈与など、新たな意思表示を伴う法的手続きができなくなる。
2. 生前に進めておくべき4つの資産対策
① 家族信託(民事信託)
- 概要:信頼できる家族(子供など)に財産の管理・処分権限を預けておく仕組みです。
- メリット:本人が認知症になった後でも、託された家族が介護費用のために預金を動かしたり、実家を売却・賃貸に出したりすることが可能になります。
② 任意後見制度
- 概要:元気なうちに「将来自分の判断能力が衰えたら誰に後見人になってもらうか」をあらかじめ契約(公正証書)で決めておく制度です。
- メリット:法定後見制度とは異なり、自分の意思で信頼できる後見人やサポート内容を選んでおくことができます。
③ 遺言書の作成(特に公正証書遺言)
- 概要:万が一の際の財産の分け方をあらかじめ文章として残しておきます。
- メリット:認知症発症後は遺言書を作成できなくなるため、事前の作成が不可欠です。公正証書で作成しておくことで、将来の無効主張トラブルを防止できます。
④ 預金口座の整理・代理人指名
- 概要:使っていない口座を解約・整理し、金融機関の「代理人カード」や「代理人指名サービス」を活用しておきます。
- メリット:日常的な生活費や介護費用の出し入れをスムーズに行えるよう準備できます。
まとめ:対策は「判断能力があるうち」が鉄則
一度認知症が進んで判断能力が失われると、選択できる対策の幅が大きく狭まり、手続きも非常に複雑になります。自分の意思を尊重した豊かな老後を送り、家族に負担を残さないためにも、早めの準備が大切です。
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