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【相談事例】法務局に預けたから安心…のはずが?「お墓」と「実家」の表記ミスで名義変更できなかった落とし穴

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相続・遺言書作成

「法務局に遺言書を預かってもらったから、もう我が家の相続対策は完璧だ」
「国の機関がチェックしてくれた遺言書なら、後から無効になる心配はないだろう」

2020年にスタートした「自筆証書遺言書保管制度」を利用し、法務局に遺言書を預ける方が増えています。

手数料も安く、紛失の心配もない素晴らしい制度ですが、実は「法務局が受け取ってくれた=その遺言書で確実に相続手続きができる」わけではないことをご存知でしょうか?

今回は、相談事例をベースに、法務局に預けて安心していた遺言書が、亡くなった後に「ただの紙切れ同然」になってしまいかけた危機と、その解決策を分かりやすく解説します。


1. ご相談事例(I様・40代女性のケース)

【相談者プロフィール】

  • 相談者: I様(40代・女性・長女)
  • 家族構成: 故人(父親)、長女(I様)、長男(別居・音信不通気味)
  • お悩み内容:
    I様のお父様は生前、非常にきっちりした性格で、「自筆証書遺言」をご自身で執筆されていました。さらに、紛失や改ざんを防ぐために、自ら法務局へ足を運び「遺言書保管制度」を利用して国に預けておられたのです。

お父様が亡くなった後、I様は法務局から遺言書を受け取り、そこに書かれていた「自宅の土地建物を長女(I様)に相続させる」という内容に従って、実家の名義変更(相続登記)を法務局に行おうとしました。

しかし、窓口の担当者から告げられたのは、信じられない言葉でした。
「この遺言書の書き方では、実家の名義変更手続きは受け付けられません」


2. なぜ? 法務局に預けた遺言書で手続きができなかった「原因」

お父様は法務局の窓口でしっかり書類を提出し、受理されていました。それなのに、なぜ手続きが拒否されてしまったのでしょうか?

原因は、お父様が良かれと思って書いた「文章の中身(表現)」に致命的な不備が2つあったからです。

不備①:不動産の表記が「住所(住居表示)」になっていた

お父様は遺言書に「私が住んでいる〇〇市〇〇一丁目2番3号の自宅を長女に〜」と書いていました。これは普段私たちが使っている「住所(住居表示)」です。
しかし、法的に不動産を特定して名義変更を行うには、権利書や登記事項証明書に記載されている「地番(ちばん)」や「家屋番号(かおくばんごう)」で記載しなければなりません。住所と地番は数字が異なることが多く、このズレのせいで法務局は「どの不動産のことか特定できない」と判断したのです。

不備②:「祭祀財産(お墓)」と通常の遺産を混同していた

お父様は文章の最後に「先祖代々のお墓と仏壇も、すべて長女に『相続』させる」と記載していました。前述の通り、お墓や仏壇は法律上「祭祀財産(さいしざいさん)」であり、通常の遺産分割や「相続」の対象外です。
正しくは「祭祀承継者に指定する」と書くべきところを、通常の財産と同じ枠で「相続させる」と混同して書いてしまったため、法的な解釈に疑義が生じる原因になってしまいました。

⚠️ 最大の盲点:法務局は「中身の正確さ」まではチェックしない

法務局の保管制度で職員が確認するのは、あくまで「日付があるか」「署名・押印があるか」「余白の幅が正しいか」といった外見の形(形式)だけです。「地番が正しいか」「この文章で実際に名義変更ができるか」という中身のリーガルチェックは一切行ってくれないのです。


3. 行政書士からの提案と解決策

お父様の遺言書だけでは実家の名義変更ができないため、このままでは法律の原則通り、別居していて音信不通気味の長男と「遺産分割協議(話し合い)」を行い、実印をもらわなければならなくなりました。

お父様の遺言書を「強力な証拠」として活用しながら、以下のステップで解決を図りました。

  • 解決策①:お父様の「真意」を証明する上申書の作成
    お父様が書いた「住所」が、登記簿上の「地番」と完全に一致する場所であること(他に不動産を所有していないこと等)を証明するため、公的書類を集めて「上申書(じょうしんしょ)」を作成しました。
  • 解決策②:長男への連絡と円満な合意(遺産分割協議書の締結)
    法務局での登記を確実にするため、長男に対して「お父様が法務局にまで行ってI様に実家を遺そうとしていた事実(遺言書のコピー)」を開示し、お父様の遺志を尊重してもらうよう丁寧に手紙でアプローチしました。

幸いにも、お父様がわざわざ法務局に足を運んでまで遺言を遺していたという「本気度」が長男にも伝わり、無事に実家の名義変更に協力してもらう合意(遺産分割協議書への調印)を得ることができ、I様は無事に実家を守ることができました。


4. この事例から学ぶ!失敗しないための教訓

今回のケースは、お父様の遺言書が「家族の話し合いをスムーズにする証拠」として役立ちましたが、もし長男が拒否していれば、裁判で遺言の有効性を争う大トラブルになるところでした。

法務局の保管制度を利用する際は、以下のポイントを絶対に厳守してください。

  • 不動産を書くときは、必ず「登記事項証明書(登記簿)」を見ながら、地番・家屋番号を1文字も間違えずに書き写す。
  • お墓や仏壇(祭祀財産)は、通常の遺産とは明確に区別し、「祭祀承継者に指定する」と正しく記載する。
  • 法務局に持っていく「前」に、必ず行政書士などの専門家に依頼して、文章の中身に不備がないか(実際に手続きで使えるか)のリーガルチェックを受ける。

まとめ:国が預かってくれても、中身が間違っていれば手続きはできません

法務局の遺言書保管制度は非常に安価で利便性の高い制度ですが、「受理された=安心」と過信してしまうのが最も危険です。残されたご家族が亡くなった後に困らないよう、完璧な中身に仕上げてから法務局へ預けましょう。

「自分で書いた遺言書の不動産表記が合っているか不安」
「法務局に持っていく前に、プロの目で中身をチェックしてほしい」

当事務所では、行政書士としてお客様が作成された自筆証書遺言の文面チェックから、法務局への提出書類のサポートまで親身になって対応しております。

あなたの優しい想いを確実な法的手続きに繋げるために、まずは今お持ちの遺言書の草案を見せてください【初回無料相談】。

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