相続人の中に認知症の方がいる場合、通常の相続手続きをそのまま進めることはできないケースがあります。特に、遺産分割協議を行う場合には、成年後見制度が関係してきます。理由や具体的な対処法、成年後見制度との関係について解説します。
1. なぜ認知症の相続人がいると手続きが進まないのか?
遺産分割協議は、相続人全員の同意が必要な「法律行為」です。 認知症などにより判断能力が不十分な方が署名・押印した遺産分割協議書は、後に無効となるリスクがあります。
2. 対応策:「成年後見人」の選任手続きを行う
判断能力が不十分な相続人がいる場合、本人の代わりに遺産分割協議に参加する「成年後見人」を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。
手続きの流れ
- 医師の診断書を取得: 主治医に成年後見制度用の診断書を作成してもらいます。
- 家庭裁判所へ申立て: 本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ「後見開始の審判」を申し立てます(申し立てから選任まで2〜3ヶ月程度かかります)。
- 後見人の選任: 裁判所が後見人を選任します(親族ではなく弁護士や司法書士などの専門家が選ばれるケースもあります)。
- 遺産分割協議の実施: 選任された後見人が、本人に代わって他の相続人と遺産分割協議を行います。
3. 成年後見制度を利用する際の重要な注意点
成年後見人を立てて遺産分割を行う場合、以下の点に留意する必要があります。
- 本人の「法定相続分」の確保が必須: 後見人は「本人の財産を守る役割」を担うため、「介護で大変だったから同居の長男に全額相続させ、認知症の母はゼロにする」といった協議内容には同意できません。原則として、本人の法定相続分以上の財産を確保する分割内容にする必要があります。
- 手続きが終わっても後見は継続する: 「遺産分割のためだけ」に後見人を立てることはできず、本人が亡くなるまで後見関係は継続します。専門家が後見人に選ばれた場合、月額の報酬(目安:月2万〜6万円程度)が継続的に必要となります。
4. 認知症が「軽度」の場合の選択肢
認知症の症状が軽度で、本人が手続きの内容や意味を正しく理解できる状態(判断能力が認められる状態)であれば、成年後見制度を利用せずに遺産分割協議を進められる場合もあります。
ただし、後々のトラブルを防ぐためにも、判断に迷う場合は専門家や医師に相談して慎重に判断することをおすすめします。
行政書士によるサポート
- 事前の相談が重要: 申立て手続き(書類作成や戸籍収集)や、裁判所に提出する遺産分割協議案の作成などは行政書士に依頼できます。
- 生前対策(遺言書)の有効性: もし亡くなった方が生前に「遺言書」を作成していれば、認知症の相続人がいても遺産分割協議をせずに手続きを進めることができます。
当事務所では、奈良県橿原市を中心に、戸籍の収集から法定相続情報一覧図の作成、遺産分割協議書の作成、各種相続手続き、 遺言書作成のサポートなど、相続に関する幅広いご相談を承っております。 まずはお気軽にご相談ください(初回相談無料)。
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