「自分が突然倒れたら、会社の株式や事業用の口座はどうなってしまうのだろうか」 「後継者の長男に事業を引き継がせたいけれど、他の子どもたちから遺留分を請求されて会社が立ち行かなくなるリスクが心配だ」
個人事業主や中小企業の経営者が亡くなった場合、一般的な個人の相続とは異なり、「事業の継続性」という大きな問題が発生します。
万が一の際、遺言書などの対策を立てていないと、自社株式や事業用の土地・建物、事業用口座などが複数の相続人に分散して引き継がれ、会社の経営体制が機能不全に陥る危険があります。
今回は、行政書士の視点から、事業者・経営者が直面する相続リスク、株式や事業用資産の分散を防ぐためのポイント、そして事業承継を成功させる遺言書作成の工夫について分かりやすく解説します。
1. 対策がないまま経営者が亡くなった場合の「3大リスク」
生前に十分な遺言・承継対策を行わないまま相続が発生すると、次のような致命的なトラブルが発生します。
リスク①:自社株式・事業用資産の「分散」と経営の混乱
遺言書がない場合、遺産は相続人全員の「共有状態」となり、誰がどの財産を引き継ぐかを全員の協議(遺産分割協議)で決めなければなりません。 自社株式や事業用の不動産が複数の相続人に分散してしまうと、議決権が不十分となり、重要事項の決議(取締役の選任・解任や資金調達など)ができず会社が倒産危機に陥るリスクがあります。
リスク②:事業用口座の「凍結」による資金繰りの破綻
特に個人事業主の場合、事業用の銀行口座も「個人の遺産」として扱われるため、口座が凍結されます。従業員の給与支払いや取引先への売掛金決済が停止し、事業の継続が困難になります。
リスク③:非後継者からの「遺留分(いりゅうぶん)侵害額請求」
後継者に自社株式や事業用資産を一括して集中相続させた場合、他の相続人(後継者以外の配偶者や子ども)の法律上の最低限の取り分である「遺留分」を侵害してしまうことがあります。 非後継者から多額の代償金(金銭)を請求され、後継者個人や会社の資金繰りを著しく圧迫する事態に発展します。
2. 事業承継をスムーズにする「遺言書作成」の4つのポイント
事業用資産の散逸を防ぎ、後継者へスムーズに経営権を移行させるためには、以下のような工夫を凝らした遺言書の作成が必要です。
ポイント①:「公正証書遺言」で確実に作成する
自筆の遺言書は、形式的な不備で無効になったり、亡くなった後に家庭裁判所での「検認(けんにん)」に何ヶ月もかかったりします。 経営者の相続では1日でも早く手続きを進めることが事業継続の鍵となるため、無効リスクがなく、検認不要で即座に名義変更や株式変更手続きができる「公正証書遺言」での作成が必須です。
ポイント②:事業用資産と株式を「後継者へ一括集中」指定する
- 法人の場合: 発行済株式の全株(少なくとも議決権の3分の2以上)を後継者に相続させる旨を明記します。
- 個人事業主の場合: 店舗や工場の土地・建物、事業用車両、売掛金、事業用口座を「後継者(長男等)に相続させる」と具体的に特定して記載します。
ポイント③:「遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)」を専門家に指定しておく
遺言書の中で、遺言内容を具体的に実現する手続きを行う「遺言執行者」を指定しておきます。 行政書士などの法律専門家を遺言執行者に指定しておくことで、経営者が亡くなった直後から、株式の名義書き換えや事業用不動産の変更手続きを第三者としてスピーディーに実行できます。
ポイント④:「付言事項(ふげんじこう)」で他の相続人へ意図を伝える
遺言書の最後に添えるメッセージ(付言事項)で、「なぜ後継者に事業資産を集中させたのか」「会社や従業員、家族を守るための決断であること」を切実に書き残します。 後継者以外の相続人に対する感謝の気持ちや、生前贈与・生命保険等で配慮した旨を誠実に伝えることで、感情的な対立や遺留分トラブルを防ぐ心理的効果が得られます。
3. 「遺留分対策」を組み合わせた事前設計
自社株式の評価額が高い中小企業の場合、どうしても後継者への集中相続が「遺留分侵害」を引き起こしやすくなります。遺言書とセットで以下の対策を講じておくことが大切です。
- 代償金支払いのための「生命保険」活用 経営者(被相続人)を被保険者、後継者を受取人とする生命保険に加入しておきます。亡くなった際、後継者は保険金を固有の財産として受け取れるため、それを非後継者への「代償金(遺留分への配慮費用)」として活用できます。
- 経営承継円滑化法の「特例除外・固定」合意の検討 中小企業庁の制度を活用し、後継者が生前贈与等で取得した自社株式について、他の相続人全員の合意のもと「遺留分算定の基礎から除外する(除外合意)」といった法的な特例制度を検討・利用します。
まとめ:事業の未来と家族を守る生前対策は行政書士にお任せください
事業の承継対策は、一般的な相続対策以上に「スピード」と「精密な法的設計」が求められます。
経営者自身が元気で判断能力がしっかりしている生前のうちに準備をしておくことが、会社の従業員や取引先、そして遺されたご家族全員を守る最善の道です。
- 「自社の株や事業用不動産を後継者に確実に集中させる遺言書を作りたい」
- 「他の子どもたちとトラブル(遺留分争い)にならないような配慮・付言事項を相談したい」
- 「忙しくて公証役場との事前調整や書類収集をする時間がない」
とお悩みの方は、ぜひ行政書士きいサポートオフィスにご相談ください。 貴社の状況やご家族への想いを丁寧にお伺いし、事業の継続と円満な相続を両立させる最適な遺言書作成・生前対策プランをご提案いたします。
当事務所では、奈良県橿原市を中心に、戸籍の収集から法定相続情報一覧図の作成、遺産分割協議書の作成、各種相続手続き、 遺言書作成のサポートなど、相続に関する幅広いご相談を承っております。 まずはお気軽にご相談ください(初回相談無料)。
「うちの家族の場合はどうすればいい?」「何から手を付ければいいか分からない」という方も、 一人ひとりの状況に応じて最適なご提案をいたしますのでお気軽にお問い合わせください。丁寧・迅速にサポートいたします。
⇓
「行政書士きいサポートオフィスのホームページ」

コメント