「自分が亡くなった時に財産を譲る約束(死因贈与契約)をしていたが、受け取る予定の相手が自分より先に亡くなってしまった…」 「この場合、死因贈与の契約はどうなるの?相手の子ども(孫など)に権利は引き継がれるの?」
「自分が死亡したら財産をあげる」という約束を交わす死因贈与(しいんぞうよ)。
長年お世話になった親族や第三者と契約を結ぶケースが多いですが、贈与者(あげる人)よりも先に受贈者(もらう人)が死亡してしまうケースがあります。
本記事では、奈良県橿原市で相続・生前対策をサポートする行政書士が、死因贈与において受贈者が先に亡くなった場合の法律上の扱い(代襲の有無)や、遺贈(遺言)との違い、トラブルを防ぐための契約書作成のコツを分かりやすく解説します。
1. 受贈者が先に死亡した場合、死因贈与契約はどうなる?
結論から言うと、贈与者が亡くなる前に受贈者が死亡した場合、死因贈与契約は自動的に効力を失います(失効します)。
- 民法第554条・第994条1項の準用: 死因贈与には「遺贈(遺言による贈与)」に関する民法の規定が準用されます。民法第994条1項では「遺贈は、遺言者の死亡前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない」と定められているため、死因贈与も受贈者の死亡によって失効すると解釈されています。
【受贈者の子どもへ権利は引き継がれる?(代襲の有無)】 原則として、受贈者の子ども(受贈者の相続人)へ権利が自動的に代襲(承継)されることはありません。 「受贈者が死亡した時点で契約が消滅する」ため、贈与者が亡くなった際に受贈者の遺族が「代わりに財産をください」と請求することはできません。
2. 「負担付死因贈与」で受贈者がすでに負担を果たしていた場合は?
「自分の身の回りの世話や介護をしてくれたら、死後に不動産をあげる」といった約束を「負担付死因贈与(ふたんつきしいんぞうよ)」と呼びます。
受贈者が長年介護などの負担(履行)を誠実に提供してきたにもかかわらず、途中で死亡して契約が失効してしまった場合、受贈者側の遺族からすれば「今までやってきた介護の労力が無駄になってしまうのか」という問題が生じます。
- 実務上のポイント: 判例・実務上、負担の履行状況や契約内容によっては、すでに提供された労務の相当額について金銭的な清算(不当利得返還請求等)が必要になるケースや、契約の解釈をめぐって親族間・当事者間で重大なトラブルに発展するおそれがあります。
3. トラブルを防ぐための「死因贈与契約書」作成のコツ
受贈者が先に亡くなるという予期せぬ事態(万が一の事態)に備えて、死因贈与契約書を作成する際には、あらかじめ「予備的条項(予備的受贈者の指定)」を盛り込んでおくことが極めて重要です。
【死因贈与契約書における予備的条項の記載例】
第〇条(予備的定め) 贈与者の死亡以前に受贈者 橿原 一郎 が死亡していたときは、本契約に基づく贈与の効力は失効せず、受贈者の子である 橿原 太郎 に対し、本契約と同等の条件にて下記物件を贈与するものとする。
このように「受贈者が先に亡くなった場合は、その子ども(代襲者)に譲る」という旨を明記しておけば、万が一の際にも契約が失効せず、初めの意図通りに財産を承継させることができます。
4. 「遺言(遺贈)」と「死因贈与」のどちらを選ぶべき?
「死後に特定の人へ財産を遺したい」という目的では、遺言書(公正証書遺言)と死因贈与契約の2つの選択肢があります。
- 遺言書(遺贈): 遺言者が単独で作成・変更・撤回ができる。受遺者の先死亡に備えて「予備的遺言」を記載しやすい。
- 死因贈与: あげる側ともらう側の「契約(双方の合意)」であるため、一方的な撤回が制限される場合がある(受贈者側の立場が守られやすい)。
ご自身の状況や「相手にどれだけ確実性を与えたいか」によって適切な選択肢が異なります。
死因贈与・生前対策のご相談はお気軽に
死因贈与は、生前の意思確認のもとで確実に財産を承継できる優れた方法ですが、契約書の書き方に不備があると、受贈者の死亡や相続発生時に法的な不備・解釈の違いからトラブルへ直結してしまいます。
当事務所では、万が一のリスク(受贈者の死亡や認知症発症など)まで見据えた公正証書による死因贈与契約書の作成や、遺言書・家族信託を活用した最適な生前対策をサポートしております。
「死因贈与と遺言のどちらがいいか迷っている」「万全な契約書を作成したい」という方は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。
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